漢方とは

「漢方」とは、中国で生まれた伝統医学「中医学」が日本に伝来した医術のことです。「西洋医学」が特定疾患に対する処置として治療を行うのに対して、「漢方」では、人間が本来持つ治癒力を高めることで、病気を治そうと考えます。現在、西洋医学でも漢方薬の効能が認められ、多くの医師が治療の際に漢方薬を日常的に用いています。

漢方薬の知識

◎漢方薬の服用は空腹時に

症状や漢方薬の種類などにもよりますが、基本的には食間に服用されることをお勧めします。これは吸収率の高い時に服用することで、より多くの効果をあげるためです。たとえば、アルコールなどが空腹時によく胃に吸収され、回りが早いのと同じ理由です。ちなみに、空腹時とは、食後2時間または食前30分をさします。
また漢方薬が胃に強い刺激を与える生薬を含んでいる場合は、服用が食後になるケースがあります。このように、服用にも違いがありますので、処方された漢方薬を受け取る際に確認してください。
服用の際は、白湯または水を使用するのが、一番確かです。他には、白湯に溶かして飲むケースもあります。ジュースやお茶などと一緒の服用は避けましょう。

◎漢方薬の効き方

漢方薬には大きく分けて、現在の症状を取り除く即効性のあるものと、体の根本から「自己治癒力」を高めていく遅効性のものの二種類があります。 漢方薬は効果が表れるまでに時間がかかると思われている方も多いようですが、実際には人によってさまざまで、一般論では言い尽くせない面があります。なかには服用してほんの10分ほどで効いてくるケースもあります。
また、服用の仕方などによっても、効果の期待できないことがあります。マニュアルにそって、誰もが同じ量を同じ時間帯に服用することが効果的とは言えないのです。ひとりひとりの症状に合う薬や適切な量などに違いがありますので、その時々の症状に応じて処方を変えることが大切です。
それゆえに、効果をあげるためには、その都度薬剤師等に相談しながら服用を続けることが重要になります。

◎いろんな形の漢方薬

・湯剤
いわゆる煎じ薬のことです。草や木の根などの生薬を乾燥させて刻み、土瓶で水とともに加熱し成分を抽出したものです。一番自然に近く、有効成分の吸収も良いとされます。煎じる手間や匂いの問題もあり、少し飲みにくいのが難点です。
・散剤
生薬を細かな粉末にしたものです。煎じる手間も必要ないので飲むのは楽で、常備薬としても適しています。効果は煎じ薬の次に高いと言われています。
・丸薬
生薬の粉末を蜂蜜などで練って、丸く固めたものです。大きさもいろいろで、日本では小さいものが主流です。中には金箔でコーティングされているものもあります。粉末よりも飲みやすく、長期の保存にも適しています。
・エキス剤
日本でもっとも普及している形で、細粒、顆粒、錠剤、丸薬、カプセルなどがあります。生薬から抽出した成分を濃縮させて加工します。乾燥させたものや、液状のものがあります。もちろん煎じる手間も要りませんし、西洋の薬と同じ形状なので飲みやすく、多くの生薬を一度に服用出来るのもメリットのひとつです。

◎漢方薬と副作用

漢方薬が安心して服用できる理由のひとつに、副作用がほとんどないという特徴があげられます。西洋医学の医薬品に副作用が多く見られるのは、人間が科学的に作り出した物質を使用しているからだと言われています。漢方では、自然にあるものから取り出した成分を主として利用しています。さらに、作用の強い生薬を調剤する場合には、その反作用の効果を持つ成分も同時に混ぜ合わせるなどの対応をとってきました。それゆえに、長い歴史と経験のもと調合された漢方薬には、重大な副作用のないものだけが受け継がれてきたという経緯があります。 もちろん、副作用が全くないわけではありません。また、症状に適していない漢方薬を服用したり、他の薬との飲み合わせによっては、症状が悪化することもまれにあります。症状や体質にあわない場合には、じんましん、嘔吐、下痢などの症状が出ることがあります。
ですから、病名や症状だけから自分で安易に判断して漢方薬を選ぶのではなく、その時々の状態や服用している他の薬のことも考慮する必要があります。必ずかかりつけの医師や薬剤師に相談のうえ、服用することをお勧めします。

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