BLOG 店主敬白

還暦のくすり屋さん、馬場英二が常々思うこと。

逆境を生きる
2020年2月5日 10:58

「逆境を生きる」という本を読んでいます、城山三郎さんが書いた本です。

その中に、将棋の名人、中原誠さんのことが書いてあります、

「名人戦は緊迫した状況の中で指し合います、対極は長い時間がかかりますから、トイレに立ったり、少し座をはずすこともできる、中原さんはメモを持って対極に臨み、そのメモをトイレへ立ったり、あるいは廊下に行った折々に見て、自分を励ますのです、よほど何かいい言葉が書いてあるのかと思ったら、そうではなかった、1局終えた後、旅館の部屋に戻って反省する。そして自分のきずいたことを書いておく、ところが、次の対極になって、いざ、指し合っていると、反省点などすべて忘れてしまう。だから何気ないふりをして、すーと立って、トイレに行くふりをして、あるいは廊下で伸びをしているふりをして、メモを見る。それでまた気を取り直して、再び対局の席に戻る、名人がそんな一種、子供じみたことをする。メモには実に平凡なことが書いてあるんです。「意表をつかれたらまず落ち着け、」「相手のペースに巻き込まれるな。」「自分の将棋を指せ、」なんて。こんなことは全くわかりきっていることなんです。そんなわかりきったことを、あれだけの名人が将棋を指しているときには忘れてしまっている。逆に言えば、メモを読むことによって、彼はまた力を取り戻す、だから人間というのはある意味、実に弱いものですね。百戦錬磨の名人がなんでもない紙切れ1枚に慰めなり支えなりを求めなくてはならない。沸かしは、これはなんとも人間的なエピソードだと思って、心打たれたんです、やっぱり人間は、いろんな工夫をして弱い自分をさせていかなくちゃいけない。中原さんからは、他にも面白い話を聞きました、将棋を指していて、今日はダメだ、とわかる。何手も先が読めるわけですから、今日はダメだとわかる、そういう疎き葉、どうするか?負けそうな時でも、最後の最後まで相手もいやがる手を指すというのです。同じ負けでも、相手の嫌がる手で粘っていくと、相手にショックを与えますね。いくら勝っても最後まで苦しめられるわけですから、ただでは負けない。最後まで相手を苦しませるように戦うんだ、といってました。

逆境に生きることが、難しい時代になりました。中原名人も逆境を乗り越える工夫をしてます。小生もちょっとしたことで落ち込まないように、いろいろ工夫をして、この難しい、混沌とした世の中を生き抜いていきたいものです。

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