BLOG 店主敬白

還暦のくすり屋さん、馬場英二が常々思うこと。

医者が末期がんの患者になってわかったこと
2020年11月17日 9:57

という本を読みました。脳外科医の岩田孝信先生の脳腫瘍と闘った壮絶な日々です。その中の一説です

「ふと、今の自分がいる必要は無いのではないか?と思ってしまう、自分がいてもみんなに迷惑をかけるばかりだし、自分だけではやりたいこともちゃんと出来ない。仕事も出来ない。そうして、そんな自分の存在を否定したくなってしまうのです。これは、命にかかわるような病気になった患者にある程度共通して見られる状態で、以前、私の友人は自殺未遂を起こした人がいました。たとえば、踏切などで引き込まれるように電車の車輪にジィーッと見入ったり、高いところに行って下を眺めていると、発作的に飛び込んでしまいたくなる….そんな気持ちに追い詰められていくのです。回復の希望が持てない患者がこうした気持ちになりうることは、医学の知識としてわかっていても、自分自身ではなかなかとめることができません。また、家族や医師から励ましの言葉をかけられても、それがかえって逆効果になってしまうのです。励ましの言葉を受ければ受けるほど、なんて自分はダメなんだと落ち込んでしまいます。がんばってねといわれても、がんばれない自分に直面して、さらに気分が沈みこんでしまうのです。 中略  死にいたる病に対峙して生きていくには、決して肉体的な問題を解決するだけでは十分ではありません。精神的な問題も同時に解決していかなければ生きていくことにはならないのです。」

これが精神的に追い詰められた、人間の心理なのです。脳外科のドクターですので、検査結果がわかるということは、余命を宣告されているようなもの、死を目前胃控え、人間の心理をよくあらわしている本です。一度、医療に携わる方に是非読んでいただきたい本です。患者さんの不安をいかに軽減することが出来るか、肉体的な軽減はもちろんのこと、精神的なサポートの必要性を感じました。

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